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2003/01/21 23:59:00 更新 |
特集:CESにみる“ホームネットワーク”の新潮流(2)
次世代インタフェース〜リモコン
PCのユーザーインタフェースがキーボードなら、家電の場合はリモコン。誰でも操作できる簡便さを実現するリモコンだが、ホームネットワークの波はリモコンの姿を変えようとしている
HDDレコーダーやホームサーバのように、PCアーキテクチャから生まれた製品であっても、リビングルームに入るときには家電の皮を被る必要がある。その皮の1枚がリモコンだ。今回は、身近なインタフェース「リモコン」をテーマに「International CES 2003」を振り返ってみたい。
AVCサーバの双方向リモコン
松下電器産業のコンセプトモデル「AVCサーバ」がクライアントを伴って再登場したことは既に書いたが、液晶ディスプレイを搭載した双方向リモコンが付いたのも新しいトピックだ。これは、「VAIOやMedia Center PCの操作は“PCベース”だが、われわれは“リモコンベース”にしたい」(Panasonic Consumer Electronics CompanyのJeff Nakashima氏)という同社のこだわり。液晶パネルにメニューやEPGを表示できるため、視聴時にTV画面を邪魔することがない。
一方、松下にPCベースといわれたソニーだが、こちらもサーバとなるPC(VAIO)を中心に家電をネットワーク化することで、操作性の向上を目指している。「ホームネットワークを作るには、PCとAVの相互運用性が重要になる。目指すのはAV的ユーザーインタフェース」(ソニー社長兼COOの安藤国威氏)。VAIOに蓄積したコンテンツは、RoomLinkを通じてWEGAへ出力される。この時、バックエンドで動くVAIOは、いわば裏方。ユーザーが触れるのは、RoomLinkのリモコンだ。
リモコンの限界、あるいは進化
しかし、リモコンだけでは不十分なケースもある。東芝のHDD&DVDレコーダー「RD-SX40」や「RD-X3」がパソコンを使ってファイル名を編集する機能を搭載したように、やはりキーボードを使ったほうが早いというシチュエーションは多い。
Philipsの多機能ユニバーサルリモコン「iPRONT」は、リモコンでありながらキーボードが使えるユニークな製品だ。VGAサイズの広い画面を活かし、タッチパネルにフルサイズのソフトウェアキーボードを表示してくれる。
「URLの入力やWebメールを利用するときは、やはりキーボードのほうが早いし便利だ」(Philipsの説明員)。画面に指紋が付くことを厭わなければ、指で直接タイプすることもできるだろう。
松下電器も「映像の編集など、複雑な作業をリモコンですることはない」として、キーボードを併用することに着目している。動画編集や画像の加工などはPCの役目。「著作権保護のためにファイルを自由に動かせなくなる可能性もあるが、少なくともAVCサーバと連携する“ツール”としてPCを使うことは否定しない」(Jeff氏)。
用途によってリモコン本来の簡便さとキーボードの汎用性を使いわける。それが可能になるのも、両者が混在するホームネットワークのメリットだ。
パソコンをリモコンに
また、CESの会場では「PCをリモコンとして使う」動きもみることができた。例えばSmart Display。これ自体がPCのリモコンともいえるが、ViewSonicのSmart Display「airpanel V110/V150」には、家電をコントロールするためのアプリケーション「Nevo」が初期導入されている。
米Universal Electronicsの「Nevo」は、専用のGUIを使ってPDAやSmart Displayを双方向リモコンにする。デモンストレーションでは照明のオン・オフなどが披露された
Premise Systemsの「Premise Home Control」は、Windows PC用のホームオートメーションソフトだ。X10対応機器からUPnP対応機器、あるいはハイエンドのホームシアターシステムといった幅広い機器をサポートしている。家電製品やAV機器との接続はコントロールボックスを介す必要があるが、ボックス-PC間はイーサネットをそのまま利用できる。つまり、無線LAN機能付きのノートPCにインストールすれば、ホームオートメーションを統括するワイヤレスリモコンに早変わりする。
Replay TVの上にある黒い箱がコントロールボックス
ホームネットワークの波は、リモコンの用途を広げ、多様化を促しつつある。かつてはビデオやTVといった機器だけのものだったリモコンが、家庭のセンターコンソールに進化する日が近付いているようだ。
会場で目立っていたリモコンたち:その1
Philips「iPRONT」
昨年のCEDIE Showで発表され、COMDEX/Fallでも注目を集めたPhilips「iPRONT」。同社のユニバーサルリモコン「PRONT」シリーズのフラグシップモデルだ。
本体ROMに500以上の家電製品データベースを備えるほか、学習機能やマクロ機能を搭載。VGA(640×480ピクセル)のタッチパネルディスプレイを4分割し、それぞれ別のアプリケーションを表示することも可能だ。カスタマイズ専用のPCソフト「iPront Edit」も用意されている。
iPRONTは赤外線のほか、無線、イーサネットといった通信手段を備えており、Webブラウズも装備。「TVのサッカー中継をみながら、Webブラウザで選手の情報をみる」といった、Smart Displayが指向する利用シーンを一足先に実現した。
価格は約1700ドル。機能も価格もリモコンの範疇を超えている。
会場で目立っていたリモコンたち:その2
RadioShack「Kameleon」(カメレオン)
Universal Electronics Inc.(UEI)が開発した「Kameleon」インタフェース技術を採用したユニバーサルリモコン。昨年末、RadioShackが製品化した。
操作する機器に応じてダイナミックにボタン表示を切り替えるディスプレイはまさにカメレオン。机の上などに置いているときは何も表示されていないが、手に取った途端、ボタン類が浮き上がってくる。操作する対象を指定すると、該当するボタンだけを表示。例えばビデオデッキなら「再生」「早送り」など、DVDプレーヤーならそれらに加えて「メニュー」ボタンも点灯するといった具合だ。
操作できるAV機器は6種類と少ないが、ブルーのイルミネーションが高級感を醸し出す逸品。お値段は約60ドル。
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[芹澤隆徳,ITmedia]