リビング+:特集 2003/10/03 23:59:00 更新

特集:わが家のFTTH化計画
最終回:やっぱり必要? FTTH導入に伴うネットワーク機器のリプレース

高いパフォーマンスを示し、まずは満足のFTTHサービス。しかし、これを活かすには、ブロードバンドルータを始めとするLAN機器の見直しなども必要になってきた。今回は、FTTHに対応したブロードバンドルータの選択、GigaBitイーサネット機器の導入などに触れてみたい。

 2つのFTTHの導入に伴い、まず買い増しを迫られたのがブロードバンドルータ。2つのADSLを利用していた頃は、アッカのADSLモデムがルータタイプであり、ブロードバンドルータを利用していたのはYahoo!BBだけだったからだ。利用を開始した「Bフレッツ」「TEPCOひかり」は、どちらも複数台のPCで使うにはブロードバンドルータが必要となる。

 これまで利用してきたブロードバンドルータは、マイクロ総合研究所製の「NetGenesis SuperOPT50」。登場は2001年初頭だが、FTTH利用も意識した製品で、ローカルルータモードではFTPでのスループットが57Mbpsというスペックを持つ。この時期の製品はPPPoEで接続すると極端にスループットが低下するという傾向もあるが、実用的には不満がないレベルだと見込んで、そのままFTTH環境でも利用するつもりだった。

 しかし、実際にはFTTHへの移行段階で不都合が生じた。ピーク性能はTEPCOひかりのほうが高いので、買い増しする最新のブロードバンドルータをTEPCOひかり側で使い、SuperOPT50をBフレッツで利用しようと思っていたのだが、SuperOPT50はPPPoEのマルチセッション接続に対応していなかったのだ。つまり、「フレッツ・スクウェア」を利用するときに、いちいち接続を切替えなければならない(正確にいうと毎回設定を変更する)。さらに、Bフレッツ用のIP電話アダプタはUPnPを利用するタイプなのだが、SuperOPT50はUPnP対応していない。登場から1年半以上経過しても対応していないのだから、今後サポートされる見込みも薄そうだ。

 とりあえず、とBフレッツ開通時に買い増したのが、NECの「Aterm WR7600H」。PPPoE接続時でもカタログスペックで最大80Mbpsの高いスループットを実現しており、無線LANアクセスポイントとして802.11a/b/gにフル対応しているのも魅力だ(aとb/gは排他利用)。もちろん、PPPoEマルチセッションやUPnPにも対応しており、筆者の802.11bしかない無線LAN環境も高速化できそう。価格的にも、クライアント用の無線LANカードが1枚付属して2万円台前半と、納得のいくものだった。

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筆者が買い増したWR7600Hの設定画面。PPPoEの接続先を5カ所まで設定し、同時に3カ所に接続できる。Bフレッツ「ニューファミリー」で実際に同時接続できるのは2カ所までだが、ISPと「フレッツ・スクウェア」に同時接続できるメリットは大きい

 では、ルータの使用がどの程度スループットに影響するのか。今度は、あえて高いスループットが期待できない21時台に、ルータ経由で通信速度のチェックをしてみた。回線はTEPCOひかり。PCとONUは直結し、RASPPPoEによる接続、WR7600Hによる接続、そしてSuperOPT50の3パターンを試した。計測に利用したサイトは“Radhish NetSpeed Testing”だ。

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やはりONU直結がもっとも高速で、WR7600H、SuperOPT50と続く(写真も上から同じ順番)。発売当時は最速ルータの名を欲しいままにしたSuperOPT50も時代の流れには勝てないという感じだ

 やはりRASPPPoEを用いた接続がもっとも高速で、受信が約67Mbps、送信は約89Mbps。これに対して、WR7600Hでは送信こそ約45Mbpsと大きく低下したものの、受信は約64Mbpsと誤差程度の違いとなった。一方、SuperOPT50では受信が約46Mbps、送信が約32Mbpsと、かなりの落ち込みだ。やはりPPPoE接続で大幅にスループットが低下したと判断せざるをえない。

 もちろん、受信で46Mbpsも出ていれば、実用上はなんら問題はないだろう。そんなことはわかっているのだが、やはり実測値で80Mbpsを超える通信速度をルータで半分近くまで落ちるのはもったいない。この先は自己満足の世界になってしまうのだが、おそらくFTTHを導入した人は、同じような気持ちになるのではないだろうか。

 結局、筆者宅のSuperOPT50には引退してもらうことにした。運良く、知人からNEC「BR1500H」を譲ってもらうことができたので、これをBフレッツ用に、WR7600HをTEPCOひかり用に使う。BR1500Hは、ルータ部の性能がR7600H相当だから不足はない。

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引退してもらうことになった「NetGenesis SuperOPT50」。シンプルデザインでマニア受けも良かった製品だ。後継の最新製品である「SuperOPT100」も買い増し対象の1つだったが、ブロードバンドルータ機能のみで2万円前後という価格がネックになり、購入に至らなかった

 なにも、ルータを2つも買わなくても……という意見もあるだろう。しかし、ルータはNATによるファイアウォールの役目も果たすし、いざ片方のインターネット接続が利用できなくなったとき、PC側はデフォルトゲートウェイとDNSサーバアドレスの設定変更だけでインターネット接続を切り替えることができる。仕事上、インターネット依存度が高いので、このくらいの準備をしておかないと不安なのだ。

ネットワーク改善にGigaBitイーサ導入

 次に課題となったのがLAN環境。これまでは標準的といえる100BASE(100Mbps)でLANを構築しており、ADSLのときはとくにLANがボトルネックとなることはなかった。

 GigaBitイーサネットの導入は以前から検討してはいたのだが、LANカードが32ビットPCIベースの現状では、GigaBitイーサネットを導入しても2倍程度の速度向上しか見込めないといわれており、さらに筆者は2台のノートPCも利用している。こちらのNICはPCカードタイプのため、GigaBitイーサネット対応製品が存在しない。こんな理由があって、なかなか導入に踏み切れなかったのだ。

 今回、GigaBitイーサネットを導入したのは、筆者宅のLAN構成の問題もある。筆者の場合、仕事部屋とルータやサーバPCを置いてある部屋(仮にサーバルームとしておこう)は別々になっている。この2部屋においたハブを、1本のLANケーブルでつないでおり、この部分が大きなボトルネックになる可能性がある。たとえば、サーバPCから仕事部屋のPCにファイルコピーを行ないながらインターネットを利用しようとすると、単純に考えてもインターネットとの接続速度は50Mbpsに制限されてしまうし、ファイルの転送速度も同様に低下する。

 結局仕事部屋には4ポート、サーバルームには8ポートのGigaBitイーサネットハブを導入し、部屋間をGigaBitイーサネット化した。理屈からいえば、これで仕事部屋からのインターネット利用でもLANがボトルネックになることはないはずだ。PC側のGigaBitイーサネット導入は、当面トラフィックの集中するサーバPCだけとし、ほかは見送った。そもそも、筆者が原稿書きに利用するのはノートPCなので、買い換えるしか導入の方法がないわけだが。

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サーバルーム側のネットワーク機器。左がNEC WR7600H。その下がメルコ製の8ポートGigaBitイーサネットハブ、中央の黒いのがNEC「BR1500H」。ISDN機器やPHSのホームステーションなどもあり、ONUは下段に追い出されている状態。ちなみにハブはファンが付いており、現在筆者宅でもっとも大きな騒音源となっている

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仕事部屋側には、4ポートのメルコ製GigaBitイーサネットハブ。こちらはファンレスで動作音は皆無

 ここでは部屋間が100MbpsとGigaBitイーサネットの場合に、部屋間で特に大きなトラフィックがない場合と、サーバルームから仕事部屋へファイルコピーの最中に、それぞれインターネットからの受信速度を計測してみた。なお、ファイルコピーを行っているPCとインターネットを利用しているPCは別で、あくまでハブ間の速度の違いがどう影響を与えるかを確認するための実験だ。

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部屋間をGigabitEtherで結んだ場合。ファイルコピー中でも66.78Mbpsという受信速度を記録

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部屋間を100Mbpsで結んだ場合、ファイルコピー中は最大でも49.81Mbps。ほかの速度計測サイトでも50Mbpsを超えることはなかった

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概ね同一の時間帯にそれぞれ3度ずつ計測を行った結果。極端におかしなスコアの場合のみ再計測を行っている。ハブ間がGigaBitイーサネットの場合と100Mbpsの場合は明らかに異なる結果が出た

 結果は予想通り。部屋間が100Mbpsの場合、ファイルコピー中は50Mbpsを超えることはなく、最大でも49.81Mbpsだ。これに対して部屋間がGibaBitイーサネットの場合は65Mbps以上を記録しており、部屋間にトラフィックがない場合と比べて10%程度しか速度が低下していない。また、部屋間に大きなトラフィックがない場合でも、GigaBitイーサネットのほうが5%程度、高い受信速度を示した点も面白い。

 筆者が行ったFTTH導入に伴うブロードバンドルータの買換えや買い増し、Gigabitイーサネットの導入などが、ほぼ自己満足のためであることは否定はしない。しかし、それぞれ確実な効果があったこともまた事実であり、本気でFTTHを活かしたいのなら、ネットワーク環境の見直しもひとつの手といえる。

 「工事費無料」にひかれて導入した2つのFTTH。結局、無料になったぶんがブロードバンドルータやGigaBitイーサネット機材の購入で消えた。果たして、得をしたのか、損をしたのか……。まあ、快適なインターネット接続環境を手にしたことだけは事実だ。

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▼第3回:快適なBフレッツ、そしてTEPCOひかりの開通
▼第2回:そして「Bフレッツ」開通
▼第1回:キャンペーンをうまく利用しよう

関連リンク
▼フレッツ公式ページ
▼TEPCOひかり
前 快適なBフレッツ、そしてTEPCOひかりの開通 4/4

[坪山博貴,ITmedia]



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