特集:わが家のFTTH化計画
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第1回 | キャンペーンをうまく利用しよう |
第2回 | そして「Bフレッツ」開通 |
第3回 | 快適なBフレッツ、そしてTEPCOひかりの開通 |
最終回 | やっぱり必要? FTTH導入に伴うネットワーク機器のリプレース |
筆者の居住している東京都大田区は、ISDN回線を利用した「IP接続サービス」(後のフレッツISDN)の試験サービスが行われるなど、以前からインターネット常時接続には比較的恵まれていたほう。自宅のADSLは、1.5Mbps時代の「フレッツADSL」を皮切りに、Yahoo!BB(8Mbps)を追加、さらにフレッツADSLをアッカ・ネットワークス(8Mbps)に乗り換え、2003年7月時点ではYahoo!BBの12Mbpsサービスとアッカの26Mbpsサービスを利用している。
12Mbps ADSL接続サービスは、どちらも下り5Mbps程度のスループットがあり、日常的に大きな不満があった訳ではない。ADSL接続環境としては平均的か、もしくは恵まれた方だろう。ダイヤルアップの時代には、月に数万円の通信費が発生していたことを思えば、料金面でも不満を感じることはなかった。
不満を挙げるとすれば、やはり最大1Mbpsという上りの通信速度。概ね最大速度の1Mbpsで利用できていたが、それでも100Mバイト級のファイルを送信すると15分程度はかかる。仕事柄、数100Mバイト、ときにはGバイト単位のファイルをインターネット上のストレージやFTPサーバに送信することも珍しくない。さすがにGバイト単位になると、上り1Mbpsではかなり辛いのだ。
また、時折リンク速度が極端に低下し、ADSLの再接続を行わないとリンク速度が復帰しないという、いかにもアナログ的な症状も頻繁に発生していた。実用上、それほど困るわけでもないのだが、ADSLの限界をこういったところから感じ始めていたのも事実だ。
FTTHを利用する場合、筆者宅はそれなりに恵まれた環境だった。Bフレッツはサービス開始時こそエリア外だったが、2001年11月に提供エリアとなり、2002年3月の「TEPCOひかり」サービス開始時にもサービスエリアに含まれていた。残念ながら有線ブロードネットワークスの「BROADGATE 01」は未提供(マンションタイプのみ提供)で、今後もサービスが開始される予定はなさそう。通りを挟んだ反対側は提供地域なのだが……。
筆者宅は集合住宅(平たくいえばアパート)ではあるものの、戸数が少ないこともあり、電話線などは集中配管されていない。つまり、大家さんの許可さえ得れば、一戸建てと同じ条件。導入に大きな壁はなかった。幸い、以前にCATVインターネットの導入を考えたとき、工事やケーブル引き込みの内諾を得ていた。ようするに、障害はほとんどなかったのだ。
それでも、FTTH化を踏みとどまっていたのは、料金の問題。BフレッツもTEPCOひかりも、サービス開始当初は機器のレンタル代(BフレッツはISP料金も)を含めると月額1万円程度は必要だった。さらに主に工事費となる導入費用が3万円近く掛かる。当時、既にバーゲン状態に入りつつあったADSLと比較すると、割高感は否めない。もちろん、導入費用に関しては、事実上ユーザー側の工事が必要ないADSLと、物理的に光ファイバーを引き込むFTTHでは事情が異なる。それはしかたのない部分だ。
しかし、2003年に入ると事情が変わってきた。NTT東日本の「Bフレッツ工事費半額」、NTT西日本の「Bフレッツ期間限定割引」などのキャンペーンに呼応するように、大手ISPを中心にBフレッツの初期費用無料キャンペーンが広がった。TEPCOひかりも同様で、一部のISPが行っていた初期必要無料キャンペーンを、ほとんどの対応ISPが打ち出し始めた。ISP料金込みの月額コストも、既に100Mbpsタイプで6000〜7000円程度まで下がっており、FTTHもサービス開始当初とは、ずいぶんと状況が変わった。
ISP | 申し込み期限 | ISP月額利用料 | そのほか主な特典 |
ASAHIネット | 10月31日 | 1400円 | 4カ月間ISP料金が450円 |
BIGLOBE | - | 2000円 | 3カ月間ISP料金無料 |
ぷらら | 9月30日 | 1500円 | 5カ月間ISP料金無料 |
@nifty | 9月30日 | 2000円 | 3カ月間ISP料金無料 |
hi-ho | 10月15日 | 2000円 | 3カ月間ISP料金無料 |
OCN | 9月30日 | 1980円 | 3カ月間ISP料金無料 |
SAN-NET | 9月30日 | 1800円 | 3カ月間ISP料金無料 |
WAKWAK | 9月30日 | 1480円 | 3カ月間ISP料金無料 |
BB.Excite | 9月30日 | 500円 |
ISP | 申し込み期限 | 利用料金 | そのほか主な特典 |
POINT | 1月31日 | 5580円 | - |
So-net | 10月31日 | 5700円 | - |
@nifty | 9月30日 | 6500円 | 機器レンタル料含み3カ月無料 |
BIGLOBE | 10月31日 | 6700円 | 初期費用に利用できる利用権3万2000円付き |
SpeedNet | 10月31日 | 5580円 | - |
DION | 9月30日 | 6900円 | - |
ASAHIネット | 10月31日 | 5900円 | - |
hi-ho | 11月13日 | 6600円 | - |
ODN | 1月31日 | 6480円 | 利用料3カ月無料 |
初期費用が無料、月額料金も下がったとなれば、やはりFTTHの導入を考えざるを得ない。今年に入ってから、北海道や九州の友人が相次いでBフレッツを導入し、試験的に立ててもらったFTPサーバのパフォーマンスなどを目にすると、正直羨ましかったという俗な理由も否定はしない。
既に述べたとおり、筆者宅には2本のADSLが引き込まれている。つまりはNTTのアナログ回線が2つあり、さらに通話用にはISDN回線も1本引き込まれている。筆者宅はもともとISDN回線が3本引き込まれ、ADSLの導入に伴って2本はアナログ回線に切り替えて依然3回線が引き込まれたままなのだ。
本来ならアナログ回線2本で済むところなのだが、筆者がADSL導入のためにISDN→アナログへの切り替えを行った時期には、まだ同番移行ができなかった。ISDN回線が全てISDN専用の番号帯だったためだが、当時のNTT担当者に「ISDN専用番号帯からアナログ回線への同番移行は、何年待っても無理です」と、はっきりと通告された。もちろん、現在は番号帯を問わず、ISDN→アナログ回線への同番移行は可能になっている。あの通告なんだったのか? と、NTTを小一時間、問い詰めたい気分だ(編集部注:激しく同感)。
こんな事情もあって、筆者宅は2本のADSLと音声通話を多重化していない。一応IP電話が繋がっているが、こちらは発信専用。つまりアナログ回線の基本料金は、ADSLのために支払っているのであり、FTTH化してしまえば、利用休止してもいっこうにかまわない。筆者の場合タイプ2でADSLを利用しているようなもので、アナログ回線の基本料をADSLの利用料金に含めてもいいような状況なのだ。
アナログ回線の基本料金をADSLの利用料金に含めると、一気にFTTHとの料金格差は縮まる。下表は、あくまで筆者が実際に利用している具体例だが、ADSLとFTTHのコスト差は、概ね1500〜2000円といったところだ。参考に挙げた20Mbps超のADSLでは、その差はさらに縮まる。
NTT回線利用 | インターネット接続 | ISP | レンタル機器 | 合計 | |
Yahoo!BB 12Mbps | 1918円 | 1190円 | 1290円 | 890円 | 5288円 |
アッカ12Mbps(So-net) | 1918円 | 2980円 | - | 500円 | 5398円 |
Bフレッツ(ぷらら) | 0円 | 4500円 | 1500円 | 1100円 | 7100円 |
TEPCOひかり(So-net) | 0円 | 5700円 | - | 900円 | 6600円 |
Yahoo!BB 26Mbps | 1918円 | 1190円 | 1390円 | 990円 | 5488円 |
アッカ 26Mbps(So-net) | 1918円 | 3280円 | - | 500円 | 5698円 |
Bフレッツ(BB.Excite) | 0円 | 4500円 | 500円 | 1100円 | 6100円 |
NTTアナログ回線の基本料金も含んだ場合の筆者宅における月額料金の比較。ちょっと特殊な例だが、「FTTHは高くてちょっと」と言うほどの料金差はなくなっている
Bフレッツの場合、100Mbpsのニューファミリー(NTT西日本ならファミリー100)は@niftyやBIGLOBEといった大手ISPの場合、大体月額2000円なので、あと500円程度の料金差が発生すると見てもいいだろう。逆にBB.Exciteのような格安ISPを利用すれば、Bフレッツでも月額6100円にまで利用料金は下がる。
Yahoo!BB 12MbpsにはIP電話である「BBフォン」の基本料金や機器レンタル料金も含まれる(BBフォンを利用しなくても変わらない)。しかし、@niftyやぷららのように、IP電話の基本料金を実質無料とする流れもあり、料金差はやはり縮まる傾向にある。
さらに筆者はインターネット上のネットワークストレージとして、ジャストシステムが提供する「インターディスク500」を利用している。500Mバイトで月額800円と割安感のあるサービスだが、これも自宅にFTPサーバを立ててしまえば解約できる。これも、上りが高速なFTTHならではのメリットだ。
キャンペーンとはいえ、FTTHの導入費用が劇的に下がり、筆者のようにADSLのためにアナログ回線の料金を支払っていると月額料金の差もかなり縮まっているのはわかった。次に判断すべきはFTTH+ADSLにするのか、FTTH×2回線にするかだ。
それなりに悩んだ挙句、結局FTTH×2にすることにした。これも、やはり導入費用がほとんどかからないというインパクトが大きかった。ADSLの高速化に興味や期待がない訳ではないのだが、どうも筆者のように収容局から2km程度離れていると、今後も劇的な高速化は期待できなさそうだ。さらに、上り方向の増速に関しても、多くのユーザーにメリットとして捉えにくいためか、ADSL事業者があまり積極的な姿勢は見せていない点も気になった。
具体的に検討を開始したのは7月末。決定したのは「Bフレッツニューファミリー」+ぷらら、そしてTEPCOひかり+So-netだ。どちらも導入時の工事費用(27000円/29000円)が無料。ぷららは5カ月間はISP料金が無料で、その後も月額1500円と、バックボーンが信頼できる大手ISPの中では安いことが決め手になった。また、Bフレッツの場合はISPの乗り換えが容易なので、不満があれば一定期間利用後(キャンペーン適用の条件を満たした後)、ISPを乗り換えても構わない。
また、TEPCOひかり+So-netを選択したのは、So-netのアカウントを公私共にメインのメールアドレスとしているためだ。メールアドレスの維持という意味でも、ADSLから乗り換えてしまうのが一番都合が良い。また同じISPとの契約を継続すれば、ADSLの解約も自動で行われることになり、手間が掛からないと踏んだ。
2つのFTTHに申し込みを行ったのは7月30日の深夜。同日なのは、開通までの期間をチェックするため(つまり競争させてみたかったのだ)。また、開通までにお盆休みをはさむ可能性も高く、これがどの位影響するのか、という点にも意地悪ながら興味があった。
さて、その結果は……明日掲載予定だ。
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[坪山博貴,ITmedia]
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