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年内には立場をハッキリさせる――20世紀フォックス連載:次世代DVDへの飛躍(2/5 ページ)

» 2005年04月01日 17時27分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「もちろん、インタラクティビティや将来の発展性といった部分もBDの魅力です。Javaアプレットを用いた高度なプログラミングによるインタラクティビティも、パッケージ製品の魅力を高める上で良い機能だと思いますね。

 また、BDは記録層が将来的に増えていく可能性がある。光ディスク向けとしては最後の波長である青紫レーザーダイオードを使うわけですから、記録層の増加によって容量増加の可能性があることは重要だと思っています。これらの要素やコピープロテクションの確かさに比べれば、複製コストがどうなるかは二の次でいいと考えています」。

――しかし録画用途はともかく、映画スタジオのビジネスだけを考えれば、映画が十分が画質で収録できるのであれば、将来の容量増加よりも収益性に直結する複製コストの方が重要ではないですか? BDは2層ROMの複製コストに対して、いまだ明快な回答を出せていません。

 「もちろん、われわれもビジネスですから、複製コストが安いのはうれしいことですよ。それは利益に直結します。しかし光ディスクの複製コストは出荷量に応じて急激に下がるものです。初期の段階、つまりプレーヤーの普及が十分でないうちは、複製コストよりもオーサリングやマスタリングのコストの方がより大きな意味を持ちます。現時点では、複製コストを考えてみてもあまり意味はありません」。

 「そもそも、われわれのように映像制作でビジネスを行っている企業には、複製コストや市場の誘導、仲間集めなどを行うよりもずっと重要なテーマがあるはずです。どんなに複製コストが安くて利益率が高くても、どんなに優れた機能があったとしても、カンタンにコピーされてしまえば、われわれにはなんの利益をもたらさないのでから。

 コピープロテクションの枠組みが決まっていないうちから、どっちの規格がいいとか、こっちの方でコンテンツを出す、といった話が出てくること自体がおかしいんですよ。ほかのハリウッドメジャーが、なぜ今の段階で強いコミットメントを出せるのか、私にはとても不思議です」。

ユーザーの立場になれば“これで十分”などあり得ない

――コピープロテクションという意味では、HD DVDもBDも、同じAACSという枠組みに沿う形で開発されることになっています。AACSにコンテンツベンダー側の意見が仕様として反映されれば、両規格ともに望みの結果を得られるのではありませんか?

 「確かに、両規格ともAACSを支持していますから、どちらの物理メディアが主流になったとしても同じかもしれません。AACSに意見を出して要求が通れば、どちらでも採用される。これはわれわれにとってとても良いことです。しかし議論されているAACSの仕様には不満な部分もありますから、BDAやDVD Forumを通して追加的なコピープロテクションの提案を行っているところです」。

――圧縮コーデックの進化により、HD DVDの2層30Gバイトがあれば、映画会社にとっては十分という話があちこちで聞かれるようになってきました。20世紀フォックスはこの点についてどのように考えているのでしょうか?

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