「一言で容量と言っても、さまざまな使い方があります。映像をより多く入れる、音質をさらに高める、画質を高める、おまけのゲームなどを入れるなど、いろいろなアイディアがあるでしょう。
確かに映画1本を収めるというだけであれば、H.264やVC-1を用いればHD品質でも30Gバイトで十分に柔軟性の高いオーサリングが行えるでしょう。BDの1層25Gバイトでも構わない。しかし映画1本を入れるのに十分だからそれでいい、とは私は思いません。
ユーザーの立場からすれば、これで十分といったものはないと思いますし、時間が経てば十分と思えるものも不足に感じてくるものですよ。DVDも、2層化が進めば十分だといわれましたが、今では複数枚のDVDを使うパッケージが多くなってきています」。
「たとえば、マルチプルシーズンのドラマシリーズを1枚のメディアに入れたいという要望もありますし、ユーザー視点で見れば録画もある程度はしたいでしょう。長時間のドキュメントをパッケージ化したい場合もあります。30Gバイトという数字は、映画だけであれば十分に魅力的ですが、世の中の娯楽は映画だけでなく、ゲームやテレビなど非常に多様化してきています。
さらに多くの容量があれば、さらに何かができる。それに容量が大きいからといって良いことはあっても、邪魔になることはありません。前述したように、複製コストの問題は普及してしまえばそれで解決しますから、容量が大きい方がユーザーにとってはいいと思います」。
――ユーザーの立場という意味では、HD DVD側は“DVDとHD DVDのハイブリッド”を提案していますね(関連記事)。これはHD DVDならではのフィーチャーだと思いますが、どうでしょう?
「既存のDVDと次世代光ディスクのハイブリッドメディアには注目しています。いずれは不要になるでしょうが、メディアの移行初期の段階でユーザーが受けるメリットは大きいでしょう。できることなら、こうしたアプローチは取っていきたいところです。しかし、さすがにHD DVD/DVDハイブリッドメディアの15Gバイトという数字は小さすぎます」。
――1月、HD DVDプロモーショングループが89タイトルをHD DVDで発売すると発表しました(関連記事)。20世紀フォックスは、この発表をどのように見ていますか?
「われわれが興味を持っているのはコピープロテクションだけです。映像はわれわれの資産であり、社運を賭けてビッグタイトルの製作を行っています。これらがコピーされるかもしれない状況でビジネスはできません。DVDがカンタンにコピーできてしまっている現状を考えれば、もっと慎重になるべきでしょう。他社がどんなタイトルをHD DVDで出すと言っても、そのことはわれわれのスケジュールに影響は及ぼしません」。
――ではコピープロテクション対策がハッキリすれば、態度を明らかにするのでしょうか。日本のコンテンツベンダーは両対応をほのめかしていますが、ハリウッドの映画スタジオは1つの規格にフォーカスするというスタンスですよね?
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