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年内には立場をハッキリさせる――20世紀フォックス連載:次世代DVDへの飛躍(4/5 ページ)

» 2005年04月01日 17時27分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「コピープロテクション対策が決まれば、そのときにはきちんと態度を決め、明らかにします。また、基本的に一つのフォーマットのみをサポートします。今年中にはハッキリするでしょう」。

 「20世紀フォックスとしては、今のところ“情勢をよく見ている”ということです。HD DVDプロモーショングループは確かに多くのタイトルを発表しました。しかし、有力なDVDプレーヤベンダーが東芝だけという状況で、どれだけ多くのプレーヤーを普及させることができるのか? 対してBD側のディスク複製技術はどこまで歩留まりを上げられるのか? 大手PCベンダーが参加することで、どのような展開になるのか? さまざまな状況を見て判断する必要があります。

 ただ、BD陣営はクローズドといわれていましたが、現在のBDAはとてもオープンで多数の企業が意見を活発に出し合っています。こうしたことも、実際にBDAの現場で議論しなければわからなかったことです」。

次世代のパッケージにはゆっくりと取り組む

 DVDがこれだけ普及した状況で、果たして本当に次世代光ディスクが普及するのかと疑問を呈する声も決して少なくない。北米での売り上げ金額が伸びなくなるという予想はよく聞くが、ワールドワイドで見るとまだまだ右肩上がりの成長を続けているのがDVDパッケージソフトの市場だ。

――DVDパッケージソフト市場について、今後の予測を聞かせてください。

 「北米でのDVD売り上げがフラット、つまり伸びがなくなる時期は2006〜2007年で、これはどの映画スタジオでも同じように予測しているハズです。HD映像のパッケージ販売は2006年から始まり、2009〜2010年が成長期になると考えています。その頃にはブロードバンド配信もあるという意見をよく耳にしますが、パッケージ販売を脅かすようになるまでにはまだ時間がかかるでしょう。

 ただしHDパッケージの立ち上がりは緩やかで、急にたくさん売れることはないと思います。これもどの企業も同じように考えているでしょうね。HDコンテンツがSDを追い越すのは……2030年ぐらいでしょうか?(笑)

 いや、これはジョークですが、しかしHDがDVDに取って代わることはありません。高付加価値のDVDという新しいセグメントを作りたいということです。HDコンテンツの立ち上がりは緩やかでしょうが、これだけHDTVの普及率が顕著に伸びていれば、それに対して適したコンテンツを提供しようという考えはあって当然でしょう。

 言い換えれば、DVDとは明らかに異なる付加価値を見せられるかどうか? だと思います。たとえば画質に関していえば、ハッキリとした差を付けることはできるのか?

 われわれは2年前からDVDや放送に使うためのマスターにHDとSDの両方を製作してあります。テレビ放送も人気の『24』をはじめ、HDで製作されているものが多くなっています。最近はオリジナルネガのフィルムスキャンをデジタル処理で製作するDIという手法が主流になってきていますし、HDの素材は豊富です。

 その素材をさまざまなビットレートやコーデックで圧縮してみましたが、7MbpsのH.264やVC-1では望むような結果は得られませんでした。高ビットレートのMPEG2の方がずっと結果がいいんですよ。

 フィルム上に表現したものが映画会社の資産ならば、それを可能な限り、そのままの形で伝えるのがわれわれの仕事です。ですから、現時点ではハイビットレートのMPEG2を用いて、オリジナルフィルムの持つ圧倒的な情報量を家庭に届けることで差別化できるのではと思います。“画質がいい”というのは、映像パッケージとしての最低条件です」。

――しかし北米で展開しようとしたD-VHSを用いた「D-Theatreシステム」は、全くの失敗に終わり、日本ではコンテンツの販売も行われませんでした。画質だけでは難しいのではありませんか?

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