AirH"128Kパケットの疑問を解く(後編)
AirH"実現の秘密──DDIポケットだけの高機能基地局さて,技術面,コスト面で工夫を凝らしたAirH"だが,どうしてDDIポケットだけがPHSでパケット通信を実現できたのだろうか。 DDIポケット:当社の基地局は高コストを覚悟の上でPGA(プログラマブルゲートアレイ)を採用したり,SDR(ソフトウェアディファインドラジオ)を採用してアンテナに非常に近い部分までソフトウェアで改良可能になっています。もちろん開業時にパケット通信を考慮していたわけではないのですが,「10年後に何が起きても可能な限りソフトウェアの変更だけで対応可能な基地局を」と考慮したわけです。
例えばNTTドコモのPHSでは32K PIAFS,64K PIAFSのサービス開始時にそれぞれ基地局のハード的な改修を行っているが,DDIポケットでは新サービスのための基地局のハード的な改修は原則行っていない。コストは高くついたものの高機能な基地局を導入したことが,DDIポケットが新しい通信サービスの実現につながったわけだ。
最新の基地局では最大12
AirH"の目指すもの,そしてこれからDDIポケットは,これからもPHSの可能性を追い続けるという。どのような方向性を目指しているのだろうか。 DDIポケット:AirH"では,例えるならマクドナルド的なQoS(Quality of Service)を目指しています。つまりサービスの均一性です。モバイルで重要なのは「いつでも,どこでも,だれとでも」と捉えています。従って特定の条件化で高いスループットを発揮することより,いつでもどこでもあるスループット以下にはならないサービスを目指しています。 残念ながらサービスの均一性の基準ともいえる“あるスループット”については具体的な答えは得られなかった。しかし,やはりアナログモデムの56KbpsやISDNの64Kbpsは1つの目安にはなるという。現時点では試験サービスの段階だが,筆者の感じる限りこの目安はクリアされているといえるだろう。 DDIポケット:現状のAirH"128Kパケット用端末(AH-G10)は最初の対応端末ということもあって速度重視で設計されているのは事実です。消費電力が大きいという声もあるようですが,今後の端末ではより省電力化も考慮していますし,小型化も進めています。
改善を進めるのは端末だけではない。本サービス開始後でないと(利用者が増えないと)見えてこない技術的な問題やトラフィックの変化などもあり,バックボーンの増強はもちろん,基地局,サーバの改善も進めていくという。 料金の値下げに関しては,現在は白紙だという。32Kbpsパケットに対して128KbpsパケットではWebブラウズなどがぐっと実用的になることもあり,本サービス開始後のトラフィックの増加がまだまだ見えないということなどが大きな要因だという。 料金格差の小さいADSLの1.5Mbpsサービスと8Mbpsサービスでは,ユーザーは快適になるが,実はトラフィック量はさほど変化しない。しかし,128Kbps化で大幅なトラフィック増が見込まれるAirH"では,少々事情が異な。従って本サービス開始後のユーザーあたりのトラフィック量次第では,値下げの余地が残されているということでもあるだろう。 DDIポケット:AirH"に関しては,3年以上前からパケット通信の可能性を研究してきました。しかし,定額制や128Kbpsが実現できそうなことに気づいたのは1〜2年前です。(大きな設備の改修を行わなくても)できることはまだまだあります。少しでもPHSの可能性を前に進めようとがんばっていきます。 更なる低料金化への期待も含め,今後のDDIポケットの動向に大いに期待したい。
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