Mobile:NEWS 2002年6月6日 08:12 PM 更新

iモードの海外コンテンツ、本番はこれから〜ハドソン

欧州やアジアでの展開が始まったiモードサービス。日本のコンテンツプロバイダも進出を図っているが、日本と同じように受け入れられるものなのだろうか。海外展開に積極的なハドソンに話を聞いた

 NTTドコモは、日本で大成功した「iモード」サービスを欧州やアジアに向けて展開しているが、海外でのiモードの普及具合は明らかにされていない。本誌スタッフの取材からは(4月26日の記事参照)、日本ほどには浸透していないようにも見受けられる。

場所通信オペレータiモード開始予定
香港HTCL2000年5月開始
ドイツE-Plus(KPN-Mグループ)2002年4月開始
北米AT&T-W2002年4月開始
オランダKPNモバイルNL2002年4月開始
ベルギーKPNオレンジ2002年6月予定
イギリスH3GUK3G上でサービス予定。3Gは2002年後半予定
台湾KGT2002年6月20日

 海外のiモードサービスにビジネスの可能性はあるのか。ドコモのサービス展開に合わせてコンテンツを供給しているハドソンに話を聞いた。

課金やシステムは日本のドコモ方式を踏襲

 ハドソンは、香港のHutchison Telecom向けにレースゲームを、オランダのKPNモバイル、ドイツのE-Plus向けに、サッカーシミュレーションゲームとコミュニケーションチャットソフトを提供している。

 「サイト登録の絶対数から見たら、まだまだこれから」と話すのは、ハドソン モバイル事業本部執行役員本部長の香月薫児氏。日本もサービス開始直後にiモードサービスがブレイクしたわけではなく、それは海外でも同じだという。しかし、さまざまな難関はあれど、「早期の参入は重要」という考えだ。「携帯コンテンツで世界に先駆ける日本のノウハウが活かせないはずがない。あとから花見にやって来ても、いい場所は残っていない」

 ハドソンの場合、海外に打って出るのはそれほど難しくなかったという。課金やシステムインフラといった面は日本のドコモ方式とさほど変わらず、各国通信キャリアとの契約時にもドコモがいろいろな部分でサポートをしてくれたため、「参入はしやすかった」と話す。しかし、「実際動き始めると、越えなければならないハードルは多い」(同氏)

参入後に待ち受けるハードル

 そのハードルは、サービスに対する認知度の低さから端末の価格、国民性など多岐にわたる。

 例えば、SIM(用語参照)カードで端末や通信キャリアの変更を容易に行えるヨーロッパでは、プロモーションも端末の機能を中心に行われることが多く、iモードのようなサービスを一般ユーザーに知ってもらう機会がなかなか得られないという。「その上、携帯電話は通話のためだと思っている人がまだ大半で、その先にある便利さをイメージできないでいる。日本のiモード黎明期に『こんな小さな画面で何ができるのか』と言われた時期と同じだ」(香月氏)。

 実際に利用シーンを説明すれば興味を持つ人はいるようで、「例えばチャットにしても、ヨーロッパではPCでやるものだという先入観がある。『携帯電話なら、ほかの人に見られることもない』といったら納得されたこともある」(香月氏)

 さらに、日本で普及しているサービスを「すんなり受け入れる」ことに対する抵抗も少なからずあるようだ。「ヨーロッパにしろアジアにしろ、自国の文化にはプライドを持っている。ヨーロッパでは、通話やショートメッセージメインの携帯電話からWebベースのサービスを経ずにいきなりJavaの搭載に持っていくという『中間を飛ばしてその先に行こうとする』ような対抗意識も感じられる。海外展開にあたっては、そういった「デリケートな感情」を意識したアプローチも重要」(香月氏)

 なかなか難しいように思われるコンテンツプロバイダの海外進出だが、実は普及の兆しも見え始めているという。「iモード対応携帯電話を購入したユーザーがiモードサービスを利用する比率は日本と大差ない」(同氏)。つまり端末購入者はまだ少ないものの、購入したユーザーは着実にiモードを利用し始めているというのだ。

 ヨーロッパではこの春に、テレビでiモードサービスのCMを放映するなど普及に向けた施策も行われるようになってきたそうだ。「5タイトルのiモードコンテンツを紹介したところ、サービスの認知度は上がったと聞いている」(香月氏)

海外向けコンテンツ作成時の注意点

 ハドソンが海外向けに提供しているコンテンツは日本で展開しているコンテンツが元にはなっているものの、提供先の国に合わせて変更が加えられている。「ヨーロッパで提供しているサッカーゲームのようなコンテンツはリアルさが重要。提供先の国のデータに買える変えることはもちろん、各国語へのローカライズも不自然な表現にならないよう注意を払っている」(香月氏)

 コンテンツ制作については、基本的に香港もヨーロッパもiモードと同様にHTMLベースで提供している。「HTMLベースなので、コンテンツ自体は日本でサービスしているものを、ベースに比較的容易に開発ができた。ただし香港の端末は、フォントの違いや画面サイズが日本のものより小さいなどの制約が多少あるため、表現に気をつけながら開発を行った。ヨーロッパの端末は日本のものとほとんど変わらないため、非常に提供しやすいと思う」(同氏)

中国、米国の市場は魅力

 香月氏は、どの国でも最初に火がつくのは、コミュニケーション系・待ち受け・着メロといったiモード初期から普遍的な人気を誇るコンテンツだと語り、いずれどの国でも日本のような状況になっていくことは間違いないと見ている。「大量の潜在ユーザーを抱えた中国や米国といった国は魅力を感じる。チャンスが来たときに、海外のiモードへの早期参入で蓄積されたノウハウが生きる」(香月氏)

関連記事
▼ 不定期連載 旅先携帯日記 ─フランス編─
▼ ドイツでiモードは売れていない?──「n21i」を現地調査
▼ iモード、海外進出の行く末は……
▼ ハドソン、欧州向け「i-mode」サービスにゲームコンテンツを供給
▼ 4月18日よりオランダ国内でiモードサービス開始
▼ KPN Mobile、欧州でiモード実証実験を開始

関連リンク
▼ ハドソン
▼ NTTドコモ

[後藤祥子, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!