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2002年10月24日　10:39 PM 更新

Intelの携帯向け統合チップ“Manitoba”が狙うもの（1/2）

Intelは年内にもXScale、MSAのベースバンド、メモリを統合した“Wireless Internet on a chip”──Manitobaをサンプル出荷する。Manitobaの狙い、そして日本市場に対する戦略を、Intelに聞いた

　携帯電話のコアデバイスに力を入れるインテルは、アプリケーションプロセッサとして「XScaleベース」の「PXAシリーズ」（2月12日の記事参照）、フラッシュメモリとして「StrataFlash」（10月15日の記事参照）を用意済み。続けて投入を予定しているのが、XScaleベースのアプリケーション処理部とMicro Signal Architectureを使ったベースバンド部、そしてメモリを統合したシステム・オン・チップ“Wireless Internet on a chip”だ（2001年5月の記事参照）。

　Intel Developer Forum 2002 Fall Japan（IDF）に合わせて、米Intelのワイヤレスコミュニケーションズ＆コンピューティンググループのマーケティングディレクター、Tony Sica副社長が来日。最初のWireless Internet on a chip──コードネーム“Manitoba”を紹介した。

　0.13μmプロセスで製造されるManitobaは、アンプやRFを除く、3つの要素を1つのダイに集積。年内にはサンプルを提供できる段階にきている（6月5日の記事参照）。しかし対応する通信方式はGSM/GPRSとなっており、日本向けともいえるW-CDMAは次の段階だ。Sica氏に、Manitobaのターゲット、および今後の展開について聞いた。

Manitobaで“普通の携帯”を狙う

ZDNet：まず始めに、“Wireless Internet on a chip”──Manitobaのメリットがどこにあるのか、教えてください。

Sica：まず1つのダイで3つの要素に対応することができます。RISCプロセッサであるアプリケーション部分、ベースバンド部のプロセッサ、メモリに対応するソフトシステムです。

　これは性能的にもメリットがあります。まず外部バスへの回路が必要ないので、遅延がなくなる。従来パワーがかかっていたI/Oリンクに対応する必要もないので、消費電力を抑えられます。パフォーマンスという意味でも、消費電力という意味でも向上するわけです。

　3点目のメリットはコストです。1つのフットプリントで対応できるので、マザーボードのコストも下がるし、試験コストも減らせます。同様のことを、例えばスタックパッケージでも実現できますが（10月15日の記事参照）、その場合、コスト面のメリットはありません。

　われわれは、この1つのチップで、いわゆるハイエンドの携帯だけでなく、大量に流通している普通の携帯への対応を狙っています。

ZDNet：ハイエンドの携帯では、開発コストの低下やスケーラビリティの向上を狙って、通信部とアプリケーション部のCPUを分ける、いわゆるツインCPU構成に向かう動きがあります（7月12日の記事参照）。Intelはハイエンド向けはどのような戦略でいくのでしょうか。

Sica：2つのアプローチを取ろうとしています。まずフル機能のOS──StingerやLinux、Symbianなどに対応する方向です。その場合、やはりCPUを分けた形の実装が必要にならざるを得ません。

　Manitobaは、いずれはそういったレベルにも対応していきますが、当初はメインストリームの携帯に対応します。RTOS（リアルタイムOS）、あるいはJava対応として入っていく予定です。当初のManitobaはJavaベースのものになって、命名として「Javaフォン」というものも考えています。

　ただし常に選択肢を提供しようと考えています。ベースバンドは自社、アプリケーション部はIntelのものと考えている方にも、（ベースバンドとアプリケーション用のCPUを）別々に積んだり、あるいは（統合型の）Manitobaにするカスタマーにも対応できるようにします。

日本市場──W-CDMAではなく、GSM/GPRSを選んだのはなぜか（次ページ）

[聞き手、構成：斎藤健二, ITmedia]

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