デジカメ化する携帯電話(2/2)
多色化が一段落した液晶だが、進化は止まらない。流れの1つは高解像度化だ。実際のところ、撮影した画像の美しさはカメラの画素数よりも、液晶の画素数のほうが重要。11万画素のカメラの解像度をフルに生かすには、288×352ピクセル(CIF)の液晶が必要となる。現在は、デジタルズーム用途を除くとカメラは明らかにオーバースペックだ。
注目されるのが、J-フォンの東芝端末「J-T08」(10月29日の記事参照)。業界初のQVGAサイズの液晶は、一気にPDAレベルまで携帯の液晶解像度を引き上げた。 もう1つは、輝度と色味の向上である。写真を見る以上、明るくくっきりと鮮やかな色で表示されることがカメラの性能以上に要求される。 輝度の向上は、「200カンデラ以上」と言われその明るさで衝撃をもたらした「N503iS」以降、とどまるところを知らない(5月28日の記事参照)。現在では「P504i(S)」や「J-SH52」など最新機種の多くが200カンデラ以上の明るさになっていると思われる。並べてみると分かるが、既にノートPCで使われる液晶よりも明るい場合が多い。 シャープがSH251iSで世界初の搭載を果たした「3D液晶」も可能性を秘めている(10月4日の記事参照)。なかなか利用用途が見つからなかった3Dだが、携帯のカメラとの組み合わせは絶妙。「面白いが必要ない」という声も聞かれるが、ちょうど携帯にカメラが搭載された当初も同様の声が多かったことを思い出す。
「30万画素以上のカメラは、撮影した画像をPCで見るためのもの」──。多くの端末メーカーはそのように話す。31万画素ではVGAサイズが、130万画素ではSXGAサイズが撮影可能だが、こういったハイエンドカメラは、撮影した画像をPCで見るためのものとなる。 そのために必要なのが、携帯からPCへのデータの移動だ。通信で転送するにはコストがかかりすぎるため、メモリカードを経由するのが現実的となる(10月23日の記事参照)。 またケーブルを使っての転送も対応機種が増えている。KDDIのカメラ付き端末では、全機種でカシオソフトの「MySync」を利用してデータフォルダの中の画像をPCに転送することが可能(2月20日の記事参照)。J-フォンの「J-SH09」やドコモの「SH251iS」などでは無償でケーブル転送ソフトをダウンロードできるほか、ドコモの「F251i」でもデータリンクソフトを購入することで画像の転送が可能になる。
携帯のカメラの活用法を模索する端末メーカー各社だが、確実なニーズが見込まれるのは“デジカメ化”だ。多くの端末メーカーは、(1)100万画素オーバー(メガピクセル) (2)フラッシュ内蔵 (3)メモリカード搭載、でデジカメ化が果たせると見ている。 実際、100万画素を超える携帯向けカメラモジュールは既にロームが展示会で公開しており(10月2日の記事参照)、「来年早々には100万画素のカメラを積んだ端末がお目見えする」という話が複数の関係者から届いている。さらには光学ズームやAF搭載を研究しているメーカーもある。
ロームがCEATEC JAPAN 2002で展示した130万画素のカメラモジュール)。右は撮影した映像を会場のモニターにリアルタイムで映し出しているところ 携帯がデジカメ化することは、通信キャリアの収益に直接結びつかないが、J-フォン社長のDarryl E. Green氏は、「直接通信に関係なくても、いろいろな機能が付いているとユーザーが喜ぶ。いろんなデバイスを持つよりも、1つ優れたデバイスがあれば、それを持ちたくなる」と、端末開発のコンセプトを語っている。 音楽再生など、直接通信事業者の収益にならない機能でも、ユーザーが端末に魅力を感じてくれれば加入者増に結びつくという発想だ。2003年のトピックの1つは、携帯のデジカメ化となりそうだ。
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