Mobile:NEWS 2003年2月3日 03:39 PM 更新

PIM機能にフォーカスしたFOMA「F2051」〜後編(2/2)


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「Symbian OS」のもたらしたものは

 「F2051」には「Symbian OS」(用語参照)が採用されている。メニューは富士通のお手芸とも言える「3Dアイコン」が選択できるなど、一見したところ、これが“Symbian OS”という印象は受けない。


お馴染みの3Dアイコンメニューは健在。タイル形式ではメニューがそのまま数字キーの1〜9に連携しており、少ないキータッチでメニュー階層をたどれる。オリジナルのメニューも作成できる

 しかし細かいところでは、従来の富士通端末と異なる操作体系や表記も多く、戸惑う部分もある。例えば設定変更などでも、ほかの製品では「OK」「決定」と表記される部分のほとんどが「登録」と記されているのだ。設定作業などでは一瞬躊躇してしまう。もちろんこれが「Symbian OS」の影響かどうかは分からないが、何か必要以上に“日本語化”されている雰囲気がある。


このように、ビューワの表示設定変更でも「登録」。日本語として間違ってはいないが、何か違和感を感じる

 また画像ビューワからの静止画メール送信は、サブメニューから「イメージの利用」-「メール作成」を選択するのだが、このメニューには「メール受信」「メール送信」といった選択肢もある。何かと思えばメール受信時やメール送信時の画面表示に画像を割り付ける機能なのだ。

 もちろんマニュアルをきちんと読んでおけばいいのだが、なぜ静止画のメール送信と、静止画の各種イベントへの割り付けが同列なのかは理解に苦しむ。利用頻度が明らかに異なるからだ。そもそも画像一覧時や表示時にはメールキーには何も機能が割り当てられていないのだから、メールキーを押せばメール送信、それでいいのではないだろうか。


これが問題のメニュー。静止画の各種イベントへの割り付けと、添付ファイルとしての送信(メール作成)が同じ階層にある。このメニューだけ見ると「メール作成」はメール作成画面への静止画の割り付けのようにも思える

 本機の傾向としてはっきり言えるのは、メニュー操作を多用させられることだ。例えば静止画撮影と動画撮影の切り替えもメニューから選択する必要があるため、最低でも2度のキー操作(撮影中に「MENU」-「4」)が必要だ。万人向けなのかもしれないが、使いこんでいくほどイライラ感が増す。

 文字入力も少々癖がある。カナ入力時に該当する数字キーを押すだけでは小文字入力ができず、小文字の入力には必ず「大小」切替キーを利用する。アルファベットの場合には大小を切り替えると、それ以降は保持され、シャープ製端末などには搭載されている機能だ。

 また初期設定では自動カーソルと呼ぶ機能が有効になっており、キー操作に1秒以上間隔が空くと入力した文字を確定する。例えば“う”を入力するために“2”を2回押して間を空けてさらに“2”を押してしまうと”いあ”と文字入力されたことになってしまう。これはNokia製端末などでも採用されている方式で、分かっていれば便利にも使えるが、初期設定で有効なのはどうだろうか。なお、機能を無効にして一般的な方式に設定することは可能だ。

 ここで挙げたことのほとんどは「慣れ」で片付く問題だとは思う。しかし、従来端末と比較して違和感がある部分が多いのは事実で、多少なりとも初採用となった「Symbian OS」を本機に搭載するにあたっての詰めの甘さと思われる部分が散見される。また、どうにも操作していて軽快な感じを受けないのも問題だろう。

 半面、柔軟性の高いマルチタスク機能は「Symbian OS」の貢献が大きいはずだ。従来のマルチタスク対応のFOMA端末は通話と通信という2つのネットワークの並行利用にほぼ限定されていたが、本機はもっと柔軟で現実的だ。

 メール作成中に電卓を起動して計算結果をメールにペーストしたり、メモ代わりに撮影した画像を簡単に呼び出して確認できる。またiモードで検索サイトを利用する場合にも、アドレス帳やスケジュール、メモなどから情報を簡単にペーストして検索条件にできる。PDAやPCでは当たり前にできたことが、やっと携帯電話でも可能になった。


iモードサイトにアクセス中なら「Task」ボタンを押すと、通話かネットワークを利用しないそのほかの機能(カメラ利用を含む)を呼び出せる。マルチタスク時は「Task」ボタンで2つのタスクを簡単に切り替えられる


日本語入力は、自動的に候補が表示される予測変換機能を搭載しており、読みの入力中に入力したい候補が表示されたら下キーを押すことで予測変換の候補が選択可能になる。予測変換の候補がない場合には、下キーは変換操作も兼ねているため、シームレスに予測変換を利用できる

待ち受け時間は実用レベル。スタートラインに立ったFOMA

 「F2051」を初めとするFOMA第2世代端末は、待ち受け時間が大幅に改善されたのが大きな特徴。本機も移動時で170時間と、現行のCDMA2000 1x端末に遜色ないカタログスペックとなっている。

 2日間、CDMA2000 1x端末(A3014S)と一緒に身に付けて利用してみたが、頻繁な車での移動があったにも関わらず、電池残量表示はフルのままだった。もちろん多少通話にも利用し、評価のための幾度かの静止画撮影と動画撮影を行ってである。

 少なくとも「就寝時には充電する」という、一般的な利用スタイルには十分対応できる実用的な待ち時間となった。利用可能なエリアも、都市型生活者であれば概ね問題ない範囲まで広がっている。昨今の携帯電話のトレンドである動画/静止画撮影が可能な端末が登場したことで、FOMAもようやく本格普及に向けてのスタートラインに立ったと言えそうだ。

 もちろん課題がまだまだ多いのも事実。FOMA端末全般に言えるのは「3G」を意識しすぎていることだ。多機能な割には50x系の端末と比較して遜色を感じる部分があったり、スマートさに欠ける感は否めない。PDCの50x系相当の機能や操作性に、FOMAならではエッセンスを加えるだけでも十分なのではと思ってしまう。

 これからFOMAに移行する多くのユーザーはドコモのPDC端末からの乗り換え組になる。まずは乗り換えても違和感や不便を感じない端末が必要なはずだ。例えばiショット端末ユーザーは現時点ではどのFOMA端末にも買い替える気はしないだろう。何せiモードユーザーに画像を単純には送れないのだ。

 同キャリアのPDC端末に静止画がそのまま送信できないのは妙な話だし、料金にも注意が必要。制限いっぱいの動画(100Kバイト)をメールで送信するとパケットパックなしでは1通で200円以上のパケット料が発生する計算になる。現行のパケットパックより手軽な割引サービスや根本的なパケット通信料金の改善も望まれるだろう。



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関連リンク
▼ 富士通
▼ NTTドコモ

[坪山博貴, ITmedia]

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