> ニュース 2003年6月6日 08:22 PM 更新

「バイオノートTR」メイン基板の「表」と「裏」(2/2)


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 このサイズのノートPCとしては、非常にコンパクト、かつシンプルなもの。ファンで強制排気をしているのはCPUのみ。基板の画像では、ノースブリッジにもファンがかぶって見えるが、実はファンとノースブリッジは接触していない。

 これで、ノースブリッジの熱は大丈夫なのか。

 設計段階では、ノースブリッジの強制冷却が出来るように、より大型のファンを取り付けるネジ穴とスペースを基板に用意したが、ソニーの検証ではそれほど問題にならなかったそうだ。

 どうせ場所があるなら、大型のファンをつけてもよさそうに思えるのだが、「それよりも軽量化を優先した」(松尾氏)。


メイン基板裏側。サウスブリッジ(ICH4M)とメモリスロットが実装されている。TRでは、まず、背面から取り入れた空気でメモリを冷却。次いでファンで誘導されて基板表のノースブリッジとCPUを冷却、最後はファンから排気される


吸気用の穴をあけられたメモリスロットには、内部が見えないように、スリットの位置をずらした2枚のプレートを重ねてある

 ドライブの位置も試行錯誤を重ねている。当初、側面搭載も検討されたが、最終的に、正面出し入れ方式に落ち着いた。これは、インタフェースコネクタや、サブ基板が配置される側面に、ドライブのサイドにある薄い部分を組み合わせることで、筐体を薄く出来るためだ


ディスクドライブユニットには、画像のように薄い部分が存在する。この部分をインタフェースモジュールが実装されたサブ基板に合わせることで、筐体の高さを節約できた

 軽量級2スピンドルマシンが各メーカーから登場するなか、バイオノートで必ず求められる「独自性」はどこにあるのだろうか。「他社製品はスペックも高く、仕事を意識した仕様になっている。TRは仕事マシンではなく生活マシンを意識している。その重要な要素としてDVD映像を取り込んだ製品。これがTRの最も重要なコンセプトになっている」(松本氏)

 ちなみに、最初に仕上がったデザインモックを見て「ウッ、と驚いた」(松本氏)のは本当らしい。「バイオノートではあまり使われていない、白を基調としたカラーリングに違和感を感じたから。でも、液晶画面に映像を表示したときに、デザイナーのコンセプトである“浮遊感”を理解できた」(松本氏)

 各ノートPCベンダーから1kg以下クラスの製品が姿を消していくなか、ソニーも夏モデルでSRとC1がなくなってしまった。もはや「軽さ」を求めるユーザーはいなくなってしまったのだろうか。「そんなことはない。ユーザーはより軽い製品を常に求めている。ただ、数値的な軽さでなく、必要な機能と使い勝手を満足させた軽さを望んでいる」(松本氏)

 ソニーはSRとC1について、この先の予定については何一つ明らかにしていない。「1スピンドル2スピンドルという区別はそれほど重要視していない」(松本氏)というソニーにとって「ユーザーが満足する使い勝手と求めている機能を実装して、どれだけ軽く小さいPCを作れるか」が設計の重要な要素になってくる。

 TRに次にくるものは、またTRなのか。それともC1、SRの生まれ変わりなのか。といった考え方は「VAIOの思想」では、まったく意味がないのかもしれない。



TR分解中の松尾氏。その手にあるのは分解フリーク(この記事を喜んで読んでいるあなたなら、少なからずその気があるはず)垂涎ものの「トルクドライバー」。規定されたトルクでネジ締めしないと、耐久性能が格段に下がる。また、ノートPCによっては、締めすぎたストレスで、内部のコネクタを痛めてしまう場合もある(記者も経験済み……)。ちなみに、バイオノート開発チームに配属された技術者は、仲間入りの儀式で、このトルクドライバーをはじめとする「バイオノート工具セット」を一人一人手渡しされるそうだ

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[長浜和也, ITmedia ]

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