「普及のポイントは携帯電話への搭載だ」Bluetoothはこうなる−−専門家5人が徹底討論 !!(4/4)

【国内記事】 2001年2月26日更新

2004年からがBluetoothの普及期

木原 米国でも日本と同じ認識ですか。 例えば,USBでは日本の方がいろんなアプリケーションが出ていて,使いこなしているという印象を持っています。

中川 この件については,圧倒的にヨーロッパですね。米国は大雑把な国ですが,ヨーロッパは携帯電話でも先進的な機器が登場することが多いですね。ノキアが旗振り役となっていますので,ノキアが動けば早く普及するでしょうね。

 それと,技術的な理由からですが,GSMの方がやりやすいといこともあります。ですから,普及するのはヨーロッパであって,それによってチップの価格が低下しはめることを僕は期待しています。

 どのメーカーもワールドワイドに出荷していますので,ヨーロッパである程度話が進めば,チップの価格が下がり,それがきっかけになって日本でも普及する可能性はあるかなと思います。


Bluetoothに悲観的な見方の山科氏 
山科 普及速度については,買い替えサイクルを意識しないといけないと思いますね。

 特に,日本は携帯電話の買い替えサイクルが1〜2年と1番短い。そうなると,Bluetoothが全機種に搭載されるとなると,2年は見ておかなければなりません。かりに2002年からBluetooth搭載の携帯電話が投入されるとすると,一般に普及するのに2004年までかかります。

 たぶん家電となると,もっと先のことでしょう。日本で難しいと感じるのは,普及率の高いテレビについては,デジタル放送を先に普及させたいという意図があり,テレビ局,行政,メーカーが一緒になっていますが,3者が駆け引きをやっています。そこにBluetoothとなると,混乱を招きかねない。結局はBluetoothに対応させるために,セットトップボックス(STB)がどうこうということになるでしょうね。

 また,テレビの買い替えサイクルが始まるといっても,数年はかかるわけです。昨年BSデジタル,2005年には地上波デジタルがスタートするわけですが,デジタル化のためにテレビを買い替えようとなると,STBの価格がポイントになります。そこにBluetoothを入れるかどうか,家電という切り口からすると大きいですね。

 もし,搭載するとなると,間違いなくBluetoothではなく,次の世代のワイヤレスLANになると思います。私が家電のインターネット化に決して強気でないのは,家電メーカーも放送局も基本的にデジタル放送のことしか考えていないと思います。

 例えば,放送のインターネット規格についても,結局,BMLになりましたが,当初はインターネットと互換性がないものでした。結局,インターネットに対し,放送局は鈍いということではないでしょうか。

 そうするとデジタル機器のconvergence(=収斂)の問題があるのに,通信と放送の融合といったことは,放送局のマインドが変わらない限り,できないと思うのです。

 ソニーは例外としても,家電メーカー各社は考えていないのではないか。ソニーでさえも,無線ではなく自社技術のメモリースティックを核にする可能性もあります。ましてや,冷蔵庫や電子レンジについてはどういう形になるのか予想がつきません。

 恐らく,ネットに接続してメリットがあるのは,オーディオでテレビになるでしょう。

家電だけでなくカーナビも

中川 それとカーナビもありますよ。

山科 カーナビは面白いですね。しかし,国の政策としては,ITSやETCで道路沿いのネットワークであり,カーナビは外れているようなイメージですね。そこをどう考えるのか。

 また,カーナビそのものに携帯電話を組み込もうという発想もあります。そのためにIPv6にして,クルマにも電話番号を割り当てるという発想もできます。そこにBluetoothを入れても,カーナビと携帯電話の同期をとるくらいしか用途はないでしょう。

 クルマに電話番号を割り当てるという発想を抜きにして,持っている携帯電話からダイヤルするとなれば,Bluetoothが普及するチャンスはありますよね。

中川 ETCを入れるならば,カーナビとのセットという話がでていますね。

山科 ハードメーカーにしてみると,単価が高くなりますからおいしくなりますが,ユーザーにしてみると,携帯電話1台で十分である方が便利なわけです。そうなると,どちらになるのか考えると,高周波の技術を押さえているところが強くなるわけです。

 松下通信工業が押さえていれば,携帯電話の方が圧倒的に便利だし,他のところであればカーナビが強になるでしょう。

小野 実現性のない話ですが,自動車のワイヤーハーネスをBluetoothにして,軽量化しようという計画があるそうです。

中川 いろんなことができるといえば,できなくなりますので,できるアプリケーションをちゃんと考えることがいま重要ですね。メリットがあるアプリケーションを見極めなければなりません。インフラになってしまえば,用途は自然と広がります。

山科 ヨーロッパでノキアやエリクソンという名前が挙がっていますが,これがフィリップスやシーメンスも動きは鈍いですのでBluetoothにどこまで対応できるか。

中川 フィリップスは動いても,シーメンスは鈍いでしょうね。逆に,日本の家電メーカーの方がそういうものは好きですね。

山科 まず,日本の家電メーカーが作ってみて,その動きに韓国の家電メーカーが追随するようですと,家電では普及する可能性がありますよね。

 (敬称略,続く)

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[ITmedia]

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