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焼酎ぐびなび

第六回 家飲み対策はこれでバッチリ!〜我が家の酒器たち

焼酎、というかお酒を語る際に、絶対に欠かせないのが酒器である。 筆者の自宅には、蒸留酒と、酒器と、茶器だけを収納した棚があり(通称・オトナの隠し棚w)、自宅でお酒を飲む際にはいろいろな種類の酒器をつかっている。 ワインでもブルゴーニュを飲む際、ボルドーを飲む際、シャンパーニュやソーテルヌ(仏を代表する貴腐ワイン)を飲む時にそれぞれ違うグラスを使うように、焼酎でも種類にあわせて酒器を変えるのも楽しみ方のひとつである。 というわけで、今回はお店ではなく、我が家の酒器たちを紹介していきたいと思う。



まず、一番使用頻度の高いバカラ社のロックグラスから。ロックグラスはやはり、どっしりと安定感のあるものがしっくりくる。このサイズにピッタリくる丸い氷を自宅でもつくれればなおよいのだが…。不器用な筆者にはアイスピックで見事な氷をつくるテクニックは残念ながら持ち合わせていない。この器でオススメなのは『村尾』。マイフェイバリット芋焼酎をロックで味わいたい…。

 

バカラ社のロックグラス

続いて、ストレートで飲みたい時や、キンキンに冷やした原酒をキュッとやりたい場合はこちらの江戸切子のショットグラス。深いブルーと切子の模様がいかにも涼やかな感じで、気分がよい。こちらは5種類それぞれ異なる模様のものを持っている。これで冷やした『南の島の貴婦人』や『万暦』をキュッとやりたいものだ。

江戸切子のショットグラス

あと、焼酎の酒器というわけではないのだが、ワイングラスは香りを楽しむタイプの焼酎にはうってつけ。そんなわけでリーデルのワイングラスセットも重宝している。米焼酎などはこんなグラスで飲んでみてはいかがだろうか。 『鳥飼』などは独特の吟醸香を嗅ぐ楽しみが倍増。また、麦焼酎熟成タイプの『百年の孤独』も香りと一緒に味わいたい。

リーデルのワイングラスセット

さて、芋焼酎を飲むならやっぱりこれ!というのが、薩摩黒素焼きの『黒千代香』(くろぢょか)だ。これはあらかじめ、前の日から、焼酎を水で5:5や6:4で割っておいて寝かせておき、お燗して飲むというのが、美味しい飲み方。このやりかたでつくった芋焼酎は、通常のお湯割りに比べると非常にまろやかな味わいを感じることができるのだ。これはこの飲み方がしっくりとくる『はちまん ろかせず』『佐藤 黒』『白麹 万年』などを味わいたい。

薩摩黒素焼きの『黒千代香』

さて、ちょっと目先を変えて『泡盛』用の酒器も紹介しよう。『からから』(徳利)とぐい呑み。沖縄の読谷(よみたん)で買ってきた壺屋焼(人間国宝にもなった金城一門の窯)の『やちむん』(陶器)。こちらはやっぱり泡盛を飲む際に使いたい。筆者の一番好きな『春雨』の長期熟成タイプをじっくり味わいたい。また、泡盛の酒器としては、代表的なものとして、『抱瓶』(だちびん)がある。東京・高円寺の沖縄料理の名店の名前としても有名だが、首からぶら下げたときに腰のラインにピッタリと合う、三日月型(といったらいいのかな?)の容器だ。

『やちむん』(陶器)

また、ちょっと変わった酒器を最後に紹介しよう。大阪浪華錫器の『錫』(すず)のぐい呑みだ。においがつかず錆びないので酒器には最適なのだ。1300年前に中国から伝わったこの金属の酒器は一部の上流貴族に愛されてきた。…というのも、錫は青酸や亜ヒ酸に反応し、変色するため、毒を盛られた時にすぐに分かるという。写真のものは伝統工芸氏に認定されている今井達昌さんの作である。

大阪浪華錫器の『錫』(すず)

焼酎はビールやワイン、日本酒を比べると、保存があまり難しくないこともあり、家で飲むには非常に向いている酒である。家で飲む際、ちょっとした酒器の違いでも楽しみかたがずいぶん変わってくるので、ぜひぜひ試してもらいたい。

筆者紹介
橋本 裕之(ハシモト ヒロユキ)

有限会社デジほん社長 SSI認定焼酎アドバイザー。
株式会社ダイヤモンド社で編集者として『旨い!本格焼酎』(著・山同敦子)の企画、編集などに携わる。また、モバイルサイト情報誌『iして! ケータイサイトの歩き方』の編集統括を務めた以降はモバイル業界に関わるようになり、株式会社ドワンゴを経て、2005年6月に独立し有限会社デジほんを設立。デジタル、アナログを問わず、コンテンツを広くプロデュース、運用している。最近ではスケート界の裏を深くえぐった『愛するスケートに何が起こったのか?』(著・渡部絵美)を手がけている。

http://www.digifon.jp/






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