Mobile:NEWS 2003年7月15日 01:13 AM 更新

「FOMA F2102V」レビュー(後編)(2/2)


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手軽になったPC連携

 FOMAだけではなく、ほかの携帯電話にもない大きな特徴が、充電フォルダにUSBポートを備え市販のUSBケーブルでPCと接続が可能なことだ。従来から専用のUSB通信ケーブルを用いてPCとの接続はできたが、市販USBケーブルのほうがぐっと低価格だし、本体を準電フォルダに乗せるだけで充電しながらPC連携が可能とより便利に利用できる。


このように充電フォルダには汎用USBポートが備えられ、市販のUSBケーブルでPCと接続可能。USBポートを経由しての充電などはできないが、ACアダプタが接続されてなくてもPC連携は行える。充電フォルダはF2012Vの底面に備えられた4つのデータ通信用端子と接触する仕組みになっている

 PC連携用のソフトはCD-ROMで付属しており、Windows上で動作する。アドレス帳、スケジュール、メール、メモ、ブックマーク、メロディ、イメージ(静止画)、ムービー(動画)とF2102V内のほとんどのデータをバックアップ・リストア(書き戻し)が可能で、アドレス帳とスケジュールはOutlookと連携することもできる。

 なおソフトウェア自体はF2051用と共通で、バージョンアップはされているが機能的に大きな違いはない。静止画や動画をPC上で利用するにはPC上のバックアップから1ファイルずつ取り出す必要がある。このへんはまとめてエクスポートできるなどの改良がぜひ欲しいところだろう。

 Outlookとの同期は、アドレス帳に特定フォルダを指定できるため、ケータイ専用のフォルダを作ってしまうこともできる。スケジュールは1カ月単位で現在から範囲を指定し、同期させることも可能だ。PIMとしてOutlookの利用に抵抗がないなら便利な機能だろう。


データリンクソフトでは原則としてジャンル別に一括でデータをバックアップ、リストアする。静止画はサムネイルまで表示されるが、エクスポートは1画像ずつと面倒。アドレス帳の編集などもできず、あくまでバックアップソフトの域は出ていない点が残念


データシンクロソフトではシンクロナイズだけではなく結合/追加/PCからの上書きと細かく動作が指定できる。スケジュールは現在を基準に1カ月単位で対象となる範囲を指定できるので、スケジュールが多すぎてF2102Vに収まらないということはないだろう

もう二工夫欲しいminiSD対応

 F2051からの機能拡張がminiSDスロットの装備。標準で16MバイトのminiSDメモリカードとSDカードとして利用するためのアダプタが付属している。

 ただし、メモリカードに対する扱いはあまり褒められない。静止画、動画はメモリカードへ直接記録できず、メモリカードからメールへの添付などもできない。可能なのは静止画、動画の再生だけだ。

 また内蔵メモリからメモリカードへは1ファイルずつの一歩通行のコピーしかできず、移動もできない。動画はともかく、枚数の多い静止画をメモリカードにコピーする気にならないし、コピーしたものを内蔵メモリから削除するのも面倒だ。ファイル名もメモリカードにコピーすると自動で連番に変更されてしまう。用途としては内蔵メモリを圧迫している動画を退避する──くらいしか用途を思いつかない。

 SDスロットを装備するP2102Vでも、SDメモリカード上のデータを、直接メールに添付できないといった難点はあった。それでも、メモリカードと内蔵メモリ間でデータを相互交換できたし、SDカードに直接静止画、動画を記録可能で、動画ではSDカードに対してのみの高画質記録もできた。せめてこの程度の「メリット」は付加して欲しい。

miniSDスロットは右側面に、miniSDカードをSDカードとして扱うためのアダプタも付属している。せっかくの便利な機能なのだがあまり有意義な使い道が見つからない。同じメーカーのF505iが自在にminiSDカードが利用できると比べると、かなり疑問が残った

普通のテレビ電話が欲しいならお勧め

 F2102Vの魅力を一言でいうなら、やはり「普通のテレビ電話」というところだろう。P2102Vがデザイン的な主張が強く、重量的にも130グラムオーバーといかにも“テレビ電話”だったのに対し、F2102Vなら今時のケータイにしか見えない。

 既に触れたが、重量バランスの問題から18グラムという重量差以上にF2102VはP2102Vより軽く感じる(7月14日の記事参照)。重量はPDCの505iシリーズと同等クラスになり、待ち受け時間も十分実用レベルに達している。

 Symbian OSの採用も悪くない。基本的な操作性、機能はF2051と変わっていないのでレビューを参照してほしいが(前編後編)、USB対応の充電ベースのおかげでより手軽にPC連携が可能になり、強力なPIM機能が生かせる点は大きく評価したい。充電ベースに乗せておけばPIMのシンクロが即座にできるというのは便利だし、PDAを見ればわかるように、こうでないとPCと連携するPIMとして使う気にならない人が多いのも事実だろう。

 F2102Vに限った話ではないが、テレビ電話は楽しいものの、シチュエーションを選ぶという問題点は残る。ハンズフリーとなるため騒がしい街中などでは聞き取りが大変で事実上使えないし、静かな場所ではどうしても大声になりがちなので周囲の目も気になる。

 今後は指向性の強いマイク、スピカーといった機能の導入や、より現実的に使い勝手のいいイヤフォンマイクの添付などもぜひ検討してほしいというのが、カフェでテレビ電話が着信してしどろもどろしているイチテレビ電話ユーザーの願いでもある。



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[坪山博貴, ITmedia]

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