» 誠Style »

最新シネマ特集〜ディパーテッド〜

リメイクだけど、あくまでオレ流!スコセッシ監督の渾身作

 ビリーは犯罪者の多い血筋を断ち切ろうと警察官を志し、優秀な成績で警察学校を卒業。しかし、警察に入るなり、マフィアへの潜入捜査官を命じられる。一方、マフィアのボス、コステロが親代わりだったコリンは、スパイとなるため捜査官に。それぞれ、警察、マフィアの極秘情報を収集するが……。

 ここ最近はリメイク作品が氾濫しているが、この「ディパーテッド」も2002年の大ヒット香港映画「インファナル・アフェア」がオリジナル。しかし、全くの別物に生まれ変わっていた。
 監督はマーティン・スコセッシ。出演は今やすっかりスコセッシ・ファミリーの一員となったレオナルド・ディカプリオ、そしてマット・デイモンにジャック・ニコルソン。当初出演が囁かれていたブラッド・ピットは製作で加勢するという贅沢さ。
 香港版は「無間道」の原題が示す通り、バレたらすぐ死が待ち受けるという無限地獄のような境遇が切なく、アジア映画ならではのウェットさ、義理や人情があった。対するスコセッシ版は、映像も人間関係もかなりドライ。その分、2人の怒りや苛立ち、冷酷さが際立ち、緊迫感を煽っている。オリジナル版を気にせず、スコセッシがオレ流を貫いたギャング映画なのだ。ちなみに「ディパーテッド」とは「死者」の意味。
 警察に潜入するギャングをレオ、組織に潜入する警察官をマット。この2人が予想外にいい。それ以上に、網膜に焼きついて離れないのが、ギャングのボスを演じたニコルソン。ニタッと笑ったその笑顔の裏にある狂気。あまりに不気味で、恐ろしい!
 香港版のファンにとっては、少々戸惑うかもしれないが、意外な展開をみせるラストを含め、是非とも見比べてほしい。
 今まで5度も候補になっていながら、オスカーとは縁のなかったスコセッシ監督。すでにアカデミー賞前哨戦がスタートしているが、ボストン映画批評家協会賞では作品賞、監督賞など全4部門に、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞では監督賞に輝いた。今度こそは悲願のオスカー初受賞となるか!?ノミネート発表は07年1月23日、授賞式は2月25日。

ディパーテッド

監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ、マーティン・シーン、レイ・ウィンストン、ビーラ・ファミーガ、アレック・ボールドウィン

2007年1月20日(金)よりロードショー

http://wwws.warnerbros.co.jp/thedeparted/

(C) 2006 Warner Bros. Entertainment Inc.

筆者プロフィール
本山由樹子
ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。




「最新シネマ情報」バックナンバー